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2023-02-22

習氏のG20欠席の裏に人民元暴落不安 リスクだらけの中国の資産運用市場 田村秀男 2023/9/10
中国の習近平共産党総書記(国家主席)がインド・ニューデリーで9~10日に開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)を同氏として初めて欠席する。無理もない。8月10日にバイデン米大統領から、中国経済について「爆発するのを待っている時限爆弾」とズバリ言われた。不動産バブル崩壊は止まらず、金融不安も募るのに、情報隠し以外の対策を打てない状況だ。「時限爆弾」の規模は不動産デベロッパー発行の債券だけでも500兆円規模とみられている。各国首脳に聞かれたら返答に窮するだろう。
習氏膝元の北京では、信託商品の支払い不能の投資ファンド大手、中植企業集団とその傘下の中融国際信託のオフィスビルには投資家の主婦や零細企業経営者などが連日のように、押しかける。習政権の対応はもっぱら新聞やテレビに対する徹底的な報道管制と公安警察による投資家抗議グループへの執拗な監視や拘束である。公安は投資家全員に個人情報の提出を求め、行動を24時間追跡しているもようだ。中国の場合、これまで何度も不動産バブルがつぶれても広汎な金融危機の発生を阻止した。その秘訣は徹底的な情報の隠蔽にある。貸し手の金融機関や投資ファンドの信用は、バランスシート(財務諸表)上の負債が資産を上回らなければ、つまり債務超過が表面化しなければ保たれる。中国の場合、党の指示で不良資産を隠してしまう。その間に主な投資先の不動産市場が好転すれば、難局回避というシナリオだ。
今回はそうは問屋が卸さない。外資は中国市場から逃げ出し、中国人の資産家も香港経由で資産を外部に持ち出す資本逃避に躍起となっている。その結果は人民元の対ドル相場に反映する。人民元が売られるので、元安が進むのだ。
グラフはロシアによるウクライナ侵略開始以降の香港市場での人民元相場と中国の人民元による対外支払いの推移である。貿易や金融・資本取引の人民元決済は、習政権が2018年6月、当時のトランプ米政権との貿易戦争勃発を機に、ドル離れのための手段としてきた。西側の対露金融制裁を受けて、中露はドルに代えて人民元決済に切り替えた。すると、ロシアは石油や天然ガスの対中輸出代金を香港の銀行に開設した人民元口座に振り込ませる。だが、そのままだと元安で損失を被るばかりか、リスクだらけの中国の資産市場で運用するのは馬鹿げている。従って、入金すればただちに香港の人民元・ドル市場で売却するので、元はさらに下落する。習氏は8月下旬、南アフリカで開かれたBRICS首脳会議に出席し、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、アルゼンチンなど人民元決済を働きかけている6カ国の新規BRICS参加を先導したが、いずれの国も値打ちが下がる人民元を手にはしたがらないだろう。続いて、G20サミットに参加しても恥をかくだけだ。習氏の強権は人民元暴落不安をかき立てるのだ。

慰安婦問題の様変わり 2023/9/9 黒田 勝弘
ソウルの日本大使館前には相変わらず〝反日ヘイト〟の慰安婦少女像が存在し続けているが、像をめぐる風景には様変わりが見られる。最強の反日団体だった慰安婦問題支援の「挺対協」を継ぐ「正義連」が主催する大使館前水曜集会では、彼らを「反日商売の詐欺師!」と糾弾する右派の集会の方が威勢がいい。たとえば今週、集まった人数は前者が約40人で後者はその倍近い。しかも後者では韓国国旗とともに日章旗が盛んに振られていた。前日、ソウルでは慰安婦問題で強制連行説や性奴隷説を否定し〝真実究明〟を主張する日韓共同セミナーが開かれたが、大使館前での日本支持の日の丸登場など様変わりの象徴だろう。
ただこうした風景は韓国マスコミでは無視されている。セミナーには慰安婦問題の国内定説を否定する『反日種族主義』の著者、李栄薫元ソウル大教授やラムザイヤー米ハーバード大教授も支持のメッセージを寄せていたが、世論の〝反日思い込み〟の変化にはまだ時間がかかりそうだ。一方、元挺対協代表の尹美香(ユン・ミヒャン)国会議員は日本で朝鮮総連主催の関東大震災100年記念集会に出席し世論にたたかれている。彼女が金正日(キム・ジョンイル)死去の際、弔電を送るなど親北朝鮮だったことは隠された事実。その正体暴露も状況変化の一断面といっていい。(黒田勝弘)

★自民党が学術会議の民間化を提案 「自分たちで人事を決めたいなら、ご自由に」 実は70年前から議論があった 2023年4月27日
 岸田文雄首相が手を付けようとした日本学術会議の会員選考。第三者の関与を盛り込んだ法案提出はひとまず見送られたが、自民党内では不満がくすぶる。彼らが訴えるのが、学術会議の民間化だ。こうした案は昨日今日に突如、浮上したのではない。実に70年の歴史があるのだ。「バカヤロー解散」のころから議論された民間化論。何が問題なのか、改めて考えた。(木原育子、岸本拓也)
◆当時の首相は麻生太郎氏の祖父 「政府批判にむくれる」と報じられる
 「自分たちだけで人事を決めたいなら、民間的な組織として自由にしていただく選択肢もある」
 政府が法案提出の見送りを決めた翌日の21日。自民党の世耕弘成参院幹事長は会見でそう言ってのけた。3日後には同党のプロジェクトチーム(PT)の会議で「(民間)法人化もやむなし」と飛び出した。
 日本学術会議は、国の特別機関。事務局は内閣府が担う。同様の機関は、子どもの貧困対策会議や国際平和協力本部などがある。
 民間化でどう変わるのか。事務局の大山研次課長補佐は「何も聞かされていない」と繰り返すだけだ。
 こうした民間化論、実は70年の歴史がある。例えば1953年11月23日付の東京新聞1面。発足5年目にして、政府の機構改革試案として「日本学術会議は民間に移し、特殊法人とする」と伝えている。
 国会の議事録を見ると、11月27日の参議院内閣委員会小委員会で、学術会議の亀山直人会長が「民間団体にしようとかいう議が起きている」と発言していた。12月7日の内閣委では、塚田十一郎郵政相が「民間の運営にしていただく方がいいのじゃないか」と揺さぶっていた。
 当時は自民党の前身、自由党が政権を担った。首相は吉田茂氏。自民党の麻生太郎副総裁の祖父だ。
 吉田首相の学者に対する姿勢がにじむ言葉もある。50年5月、米国との講和交渉を進める政府に反発した東京大の南原繁学長をこう非難した。
 「曲学阿世きょくがくあせいの徒」
 曲学阿世は、真理を曲げて世俗におもねり人気を得るとの意味。中国の古典「史記」に登場する言葉だ。
 学術会議の状況はどうか。東京工業高等専門学校の河村豊名誉教授(科学史)は「軍事技術や原水爆実験にどう向き合っていくか議論されていた」と語る一方、時の政権は「米国が主導した制度、例えば民主主義の理想を旗印につくった学術会議の位置付けを改め、学者に与えられた発言力を弱めようとした」とみる。
 民間化を試みた政権の思惑は気になるところだ。この辺りは各紙も報じた。
 朝日新聞は53年11月26日付で「危機に立つ日本学術会議」と報じ、翌年1月25日付には「吉田ワンマンは民間移譲を強硬に主張」と報じた。主導者が浮かんでくる。
 次は毎日新聞。53年12月18日付で「政府の金で運営しているのに政府の意向通りに動かないなどの理由から、民間団体にする案を考えている」と報道。日経新聞は54年7月2日付で「学術会議を民間移管」と題した記事を掲載し、首相だった吉田氏が「強硬に指示」したとし、学術会議側の政府批判に「むくれる」と報じた。
 東北大の井原聡名誉教授(科学技術史)は「政府・自民党は絶えず、学術会議を政治のしもべとして扱おうとしてきた。緊張関係が高まってくると、これまでも民間化論のおどしをかけてきた。しもべとして活用したいので学術界とは決別しない」とみる。
◆繰り返し問題視された民間化 「健全な議論が失われ、翼賛体制に」という懸念
 当時の民間化論は具体化しなかった。結局のところ、何が問題視されたのか。
 学術会議側は1953年11月に出した「日本学術会議の所轄について(要望)」で「民間団体とすることは著しく軽率のそしりを免れない」と強く訴えた。
 その理由もつづっており、政府機関ではなく民間組織になると、その勧告や答申の持つ重みがなくなること、資金運営が困難になることなどを挙げた。
 翌年3月の参院内閣委で、政府側は「政民間に移譲する考えは相当強くあるが、今国会に提案できる状態かどうかは、事務的な見通しとしては困難」と答弁。同6月には「確定的に決まったものはなく、なお研究中の段階」と次第にトーンダウンしていった。
 ただ、その後も民間化の議論は何度も浮上した。
 80年代前半に会員の選出方法を選挙から推薦制へ変更する際、民間化も選択肢に挙がったが、「(資金面で)安定した活動ができるか心配」として具体化は見送られた。
 2000年代初めにあった政府の総合科学技術会議の専門調査会も、民間化について議論している。03年の報告書は「科学者コミュニティーの意見を集約して政府に提言を行う役割を考えると、全くの民間の組織とすることは適切ではない」と記した。
 それでも今、民間化論は再燃している。改めて考えたいのが「いま学術会議を民間組織にする必要があるのか」という点だ。
 京大大学院の伊藤憲二准教授(科学史)は「すべては(菅義偉前首相による)任命拒否問題から始まっている。あたかも学術会議に何か問題があるかのような前提にしており、仕組みを変えることを認めれば任命拒否も正当化されてしまう」と述べ、議論の進め方に目を向ける。
 さらに「仕組みを変える必要性がはっきりしないまま拙速に変えると、決める側の都合が良い方向にいく可能性は高い」と語る。
 同時に考えたいのが、時の政権との距離感だ。
 学術会議は「戦争目的の科学の研究は行わない」との考えに沿った声明を17年に出すなど、安全保障の名の下に防衛費増大や武器輸出の解禁などを目指す自公政権の意に沿わない提言も行ってきた。
 学術会議はサイト上で「時々の政治的判断から独立して『真に学術的な観点』に立った役割が重要。忌憚きたんなく議論し、意見することは、民主主義の充実に寄与する営み」と記し、自ら判断する意義を強調する。
 かたや、民間化を求める人々からは強硬な主張が出る。「あらゆるイデオロギーから独立したいなら国費を入れず、純粋な民間機関としての立場を確立されるのがいい」(経済同友会の桜田謙悟代表幹事)という具合にだ。
 つまるところ「時の政権の意に従わない組織に公金は必要ない」「政府から遠く離れ、ご勝手に」と突き放すようにも聞こえる。こうした考え方が横行すると、何が起こりうるのか。危うさは潜んでいないか。
 学術会議の会員を務めた名古屋大の池内了名誉教授(宇宙物理学)は「政府にとって受け入れがたいことでも、学者が客観的に正直に語り、政府側もそれを受け止めながら意見交換する健全なスタイルが完全に失われる」と警戒感を募らせ、さらにこう訴える。
 「政府の中から学者が意見を言うことで間違いを少しでも減らす知恵が働いてきた。それが一民間組織になってしまうと、政府は、学者の意見をまともに受け止めようとしなくなる。要らないものを切り捨て、翼賛体制をつくるようなやり方は非常に危うい」
◆デスクメモ
 自民党の面々は学術会議を政府から切り離してどうするつもりなのか。新たな学者の組織を政府に設けたりしないか。考えの近い面々を集め、お墨付きをもらうような。いわば政府の御用機関。実際につくれば、いま以上に器の小ささがあらわになるだけ。やめた方がいいですよ。(榊)

★学術会議の改革 民間法人化も視野に入ろう 2023/04/22 読売
 日本学術会議の改革に向けた法案は、学術会議側に配慮した内容で、何ら問題はないように思える。にもかかわらず、政府が国会提出を断念したのはどういうことか。
 学術会議が法案に反発している中で提出に踏み切れば、内閣支持率に響く恐れがある、との判断が働いたとされている。
 事実であれば、異常な事態だ。法案を国会に提出し、科学者の代表機関のあり方を政府と与野党で多角的に論じる必要がある。
 そもそも改正案は、学術会議側の意向を十分に踏まえている。
 学術会議は2021年、自ら改革案をまとめ、会員選考の際には「外部有識者から意見聴取する」と強調していた。
 政府案はその具体策として、会員の選考プロセスに、第三者でつくる新設の「選考諮問委員会」を関与させることにしたまでだ。諮問委員会の意見を学術会議が「尊重」することも定めている。
 だが、学術会議の総会では政府案に「独立性が脅かされる」「政府の介入を許す」といった反対論が相次いだ。政府に法改正を思いとどまるよう求める勧告も採択した。自ら改革を約束しておきながら、これでは筋が通らない。
 改正案にはまた、学術会議が事業計画を定め、計画を踏まえて運営を自己評価し、公表する仕組みも盛り込まれた。しかし、学術会議はこれにも「学術研究に評価はなじまない」と反対した。
 運営を国費に頼っている組織が、自らの活動について、説明責任を果たすのは当然のことだ。
 穏当な政府案でさえ受け入れられないならば、現行制度の中での改革は望めまい。政府は、学術会議を「国の機関」にとどめずに、民間法人とすることも選択肢とせねばならない。
 政府が法案の提出を見送った理由が、そうした改革への布石というのであれば理解もできよう。
 学術会議は、科学に関する様々な提言を出してはいるが、東日本大震災や新型コロナ禍といった国家的な危機時に、十分に対処したとは言えない。学術界が、有意な政策提言を機動的に行えるようにするための改革は不可欠だ。
 学術会議はどのような改革を目指しているのか、立場を明らかにすべきだ。それができないなら、反対論は単に組織の「保身」が目的だと言わざるを得ない。

★学術会議法改正案 提出「反対」は時代錯誤だ 2023/4/20 産経
日本学術会議が、会員選考方法の見直しを盛り込んだ政府の学術会議法改正案に反発している。学術会議は総会で、政府に対し、同法改正案の今国会提出を思いとどまり、「開かれた協議の場」を設けるよう求める勧告を決めた。同法改正案は第三者による「選考諮問委員会」を新設し、会員選考に関与させることが柱だ。総会では「政府の介入」を懸念する声が相次いだ。身勝手な組織防衛にすぎず、翻意して同法改正案に賛同すべきだ。会員選考見直しは、菅義偉首相(当時)が学術会議側が推薦した候補のうち6人の任命を認めなかったことがきっかけだ。総会では任命拒否撤回を求める声も出た。任命権者は衆院選など民主的な手続きで就任した首相である。撤回論は民主主義に反する。学術会議は、昭和25年と42年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対に行わない」とする軍事忌避の声明をまとめ、平成29年に声明継承を宣言した。侵略者から日本を守る自衛隊の装備充実につながる大学などでの研究が長く阻まれる要因となってきた。昨年7月には科学技術研究について「デュアルユース(軍民両用)とそうでないものとに単純に二分することはもはや困難」と事実上容認する見解を示した。だが、今も一連の声明は撤回せず、軍事忌避の姿勢を取ってきた反省をしていない。大学や研究機関では、自衛隊や同盟国、同志国の装備充実につながる研究を排斥する空気が残っている。学術会議は税金で運営され、会員は特別職国家公務員だ。防衛のための研究を当然視しないような反国民的な体質は早急に改めるべきだ。それには、選考に第三者の目を通じて世間の常識を入れていくことが欠かせない。同法改正案の早期成立が必要だ。

★諮問委関与の政府案を批判 会員選考で学術会議総会 産経2023/4/17
日本学術会議の総会が17日開かれ、第三者の「選考諮問委員会(仮称)」を新設し、会員選考に関与させるとする政府が検討中の学術会議法改正案について議論した。会員からは諮問委を通じ「政府の意見が反映されていくことが容易に想像される」などと批判や懸念が続出。「選考に介入する意図はない」「(選考過程の)透明性確保が最低限必要だ」とする政府担当者と応酬になった。
政府は今国会に法改正案を提出する意向で、学術会議側は18日までの総会で対応を協議する。

★学術会議の拒否 変わらないなら民営化だ 2022/12/26 産経
政府は、日本学術会議の在り方に関し、会員の選考過程に第三者が関与することを柱とした改革方針をまとめた。来年の通常国会への関連法改正案の提出を目指す。政府方針に対し、学術会議は「学術会議の独立性に照らしても疑義があり、存在意義の根幹に関わる」として再考を求める声明を発表した。
同会議の梶田隆章会長(東京大卓越教授)は会見で「70年以上の歴史を持つ学術会議の性格を変えてしまいかねない」と危機感を示した。見当違いも甚だしい。政府方針では、会員以外にも推薦を求める仕組みを導入し、選考について意見を述べる第三者委員会も設置する。声明は「任命拒否の正当化につながりかねない」と反発した。だが、任命権限は首相にある。「独立性」の意味をはき違えているのではないか。学術会議は、法律に基づいて設置された「国の特別の機関」である。税金で運営され、会員は特別職国家公務員だ。国政選挙や首相指名選挙などの民主的な手続きを経て就任した首相の人事に従えないなら、もはや国民の税金を1円たりとも投入する必要はない。完全民営化すべきだ。学術会議を巡っては、改革すべき重要な問題がまだある。昭和25年と42年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対に行わない」との声明をまとめ、平成29年3月に声明の継承を宣言している。声明は全国の科学者の学問・研究の自由をかえって脅かすもので、国民を守るための防衛力の充実を妨げてきた。問題の本質は侵略国を喜ばせる「軍事忌避」の体質にこそある。今年7月、軍事、民生の両方で使える「デュアルユース(軍民両用)」の科学技術研究について「デュアルユースとそうでないものとに単純に二分することはもはや困難」と事実上容認する見解を示した。軍事と民生を切り離す発想から脱却したのであればよいが、一連のおかしな声明を撤回していない以上、体質が本当に変わったのか疑わしい。政策の策定に科学的な知見を取り入れることは重要であり、科学的な助言を行う機関は必要である。だが、防衛を損なう反国民的言動を反省せず、民主主義を軽視し、自らに人事権があるかのような独善的な振る舞いをする、今のままの学術会議なら必要ない。

★学術会議を「反体制的」「解散せよ」と痛烈批判 その背景とは 東京新聞 2023年4月11日
 日本学術会議法の改定案が今国会にも提案される。人選の方法を改めようとする現首相の岸田文雄氏、一つ前の菅義偉氏は学術会議のあり方を疑問視し、時に「目の敵」にしたようにも見える。背景は一体、何なのか。そんな問題意識から取材を進めると、「お家芸」のように古くから学術会議を痛烈に批判した組織が浮かび上がった。この「接点」をどう考えるべきか。(木原育子、中山岳)
◆改定案は「あからさまな介入」
 5日にあった内閣府と日本学術会議の面談。会議側から批判が続出した。「不透明でブラックボックス」「監視のための法改正だ」
 内閣府から説明を受けたのが現政権が新設を目指す「選考諮問委員会(仮称)」。学術会議の会員選考に関わる「第三者組織」だ。
 国主導で人事制度が変わりかねない状況に対し、長く学術会議の会員や連携会員を務めてきた宗教学者の島薗進氏は「あからさまな介入。政府や財界などが委員任命に関与しようとすれば、政府や与党、特定のグループの意向に従うような組織になる」と危ぶむ。
 今は学術会議側が会員候補を選考した上、推薦を受けた首相が任命している。諮問委が新設されると、そのメンバーは学術会議の会長が選ぶ一方、会員候補の選考時に諮問委の意見を聞き、その意見を「尊重しなければならない」とする。
 内閣府の児玉泰明参事官は「学術会議は国費でまかなう国の機関。選考過程の透明化は必要だ」と語る。
 一つ前の菅政権も学術会議の人事に「介入」した。
 2020年9月、学術会議から推薦を受けた会員候補6人の任命を拒否した。過去の国会では、政府側が「推薦された者をそのまま会員として任命する」と答弁したにもかかわらずだ。
 ただ、近年の政権の思惑はいまひとつ分からない。菅氏に至っては真意を問われても「総合的、俯瞰ふかん的活動を確保する観点から」と曖昧な言葉を繰り返した。
◆面白くない存在 右派結束の引き金
 そんな中で、気になる動きを見せていたのが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体、国際勝共連合だ。
 機関紙「思想新聞」の1985年8月25日付では「蝕むしばまれる『日本学術会議』」「反体制的」と記し、「早く潰つぶしてしまうことが肝要だ」という関係者コメントも掲載。同年9月1日付では「こんなにある! 学術会議の左向き勧告等」と伝えた。 近年でも菅氏の任命拒否が表沙汰になると、サイト上で「『白い巨塔』ばり不透明な会員推薦」(2020年10月19日付)、「解散せよ」(21年1月18日付)とたたみかけた。 痛烈な批判の背景について、ジャーナリストの鈴木エイト氏は「教団側は世界平和教授アカデミーという組織で文化人を取り込んだが、なびかなかったのが学術会議の人たち。面白くない存在だった」と推し量り「菅さんの任命拒否と連動する形で、歩調を合わせたのだろう」と続ける。 学術会議批判にどれだけ力を注いだか、最近の政権にどう影響したか。勝共連合に尋ねたが、10日夕までに回答が得られなかった。 これらの点に関しては、慎重な見方もある。前出の島薗氏は「教団側の政治活動のテーマは60〜80年代は反共。冷戦崩壊後、伝統的家族観に政治工作の軸足は移ってきた」と語る。
 一方で「日本社会は今も反共、反左翼の思想が根強く、何か引き金があると右派系団体も含めて結束しやすい。その一角として教団側の存在感は小さくなかった」と指摘する。
◆自民党 半世紀も前からの「お家芸」
 過去の文書をたどると、学術会議に痛烈な批判をしてきた別の組織も浮かぶ。それは自民党だ。
 国会の議事録によると、冷戦下の1960年には科学技術庁長官だった中曽根康弘氏の姿勢が問題視された。岡良一衆院議員(日本社会党)は、日本とソ連の科学技術交流を要望している学術会議の科学者を中曽根氏が「アカ呼ばわり」したとして追及した。66年には一部の自民議員が学術会議を「左翼に偏向」と見ているとして、別の野党議員がただした。
 「学術会議たたき」がより鮮明だったのは、自民党機関紙「自由新報」(現自由民主)。71年4月27日付の1面トップでは「科学なき”赤い巨塔”学術会議」との見出しで批判記事を載せた。69年に大学紛争の沈静化を狙った関連法が成立した際、学術会議が大学の自主性尊重を訴えたことに触れて「反体制、反政府の姿勢から、事あるごとに”反対声明”をつづけてきた」と主張。日本共産党シンパの会員が増えているとし、「名ばかりの政治集団」「イデオロギー一辺倒」「”存在価値ない”」と報じた。
 自民が機関紙で大々的な批判を展開した背景について、政治ジャーナリストの野上忠興氏は「自民を支持する岩盤保守層を意識しているからだ」と説く。
 学術会議は49年の発足時から「戦争非協力」を掲げ、軍事目的の研究からは距離を置いた。原子力分野では54年、平和利用に徹するとして「公開・民主・自主」の三原則を唱えた。
 折に触れて出す提言には、自民党政権の痛いところをついたものも少なくないと野上氏は指摘。「自民にとっては、何かと異論を挟む目障りな存在という感覚もあるのではないか」
◆軍事研究に距離 気に入らず
 学術会議を煙たがり「異論封じ」を唱えるような論調は、その後も出てくる。
 80年、自民の中山太郎参院議員は自著で「左翼的なイデオロギーに偏向した会員に牛耳られている」などとし、「この体質的欠陥はすべて、その会員公選制、つまり選挙方法に起因している」と書いた。
 中山氏は同年7月に総理府(現内閣府)総務長官に就任。翌81年に学術会議の運営をやり玉にあげた。国際会議に会員外の研究者を多く派遣しているとし、会員選考を含めた「改革」を唱えた。83年11月には、日本学術会議法の改定法案が成立。公選制から推薦制になった。
 こうした経緯について、東北大の井原聡名誉教授(科学技術史)は「自民党政権は学術会議を何とかコントロールしようと画策してきた。推薦制の会員選考でも近年は、政権が選びやすいように多くの候補を学術会議に求め、水面下で駆け引きしてきている」と見解を語る。
 そもそも自民党には、軍事研究を含めて産業に活用できる科学技術政策を進める意向が根強いという。
 「すぐ役立たない研究は気に入らず、協力しない姿勢を左翼的だと攻撃するのは、自民党内で文化のように醸成されてきた」
 最近の菅氏、岸田氏の動きも、学術会議をできるだけ意に沿わせたいという自民の「お家芸」だとして、警鐘を鳴らす。
 「学術会議が目指すのは真理の探究と、その成果が人類の福祉に役立つことだ。政府の言いなりになることではない。世界的に見ても科学者が集まるアカデミーは、政府から独立性を保つことが重要とされる。学術会議の人選に諮問委を導入すれば、批判的精神が細り、科学の正しい発展を阻害しかねない。時の自民党政権がたびたび介入しようとした歴史も踏まえ、慎重に考えるべきだ」
◆デスクメモ
 自民の機関紙が学術会議を「科学なき”赤い巨塔”」と評したのが1971年。約50年後、勝共連合が「『白い巨塔』ばり」と記した。似た表現は書き手の世代的なものからか。「知る人ぞ知る批判」を踏襲したからか。時を超えた共鳴を思わせる状況。こちらも気になって仕方ない。(榊)

★韓国報道 要点を見抜かず横並び 京都府立大教授・岡本隆司 2023/3/26 10:00
韓国政府が6日、いわゆる徴用工訴訟問題で、韓国政府系の財団が日本企業に代わって賠償金相当額を支払う、という「解決策」を発表した。にわかに日韓関係が動き出したわけで、両国の新聞・メディアも一斉に速報した。
「苦肉の策」「屈辱外交」と韓国紙の賛否こもごも、日本に対する韓国側の複雑な感情・姿勢、そして苦慮が、その論調にあらわれている。韓国的というべきか、内外の情勢をめぐるかの国の現状にほかならない。
米国との関係修復が、現政権の重要課題だ。ウクライナでの戦争もからんで、前政権の日米スルー・北べったりのようにはいかない。とはいえ、その本音は那辺にあるのか。かの国の輿論(よろん)は「解決策」にむしろ反対なのだろうが、そういえないところに苦境をみるべきではある。
そうした「解決策」に対する日本の報道が、これまたごく日本的だった。全体的な論調としては、「解決策」の内容に一定の評価を与えながらも、警戒感をにじませる。かつて慰安婦問題のような「ちゃぶ台返し」があったから当然だとはいえ、やはり本音は那辺にあるのか。関係修復は望むところながら、一件落着とはいえない両論併記である。
そんな新聞・メディアの論調・論法を旧態依然と思うのは、筆者だけだろうか。「解決策」に対する評価と警戒、いずれを強調し前面に出すかは、それぞれに異なるものの、言っている内容・表現に各紙大差はない。
要するに、同じ枠組みの横並びなのである。日本の新聞・メディアの韓国観が、日本基準の視座しかないことを表現するものにほかならない。
13日付、韓国の聯合ニュース(ネット日本語版)には、韓国大統領室高官の談話として、日本に対し「許すことのできない歴史が存在するが」、「われわれが道徳的優位性と正当性を確保したと考える国民もいるだろう」と伝えた。これで反対しかねない韓国民の一定の理解を得られるとみたわけである。たとえばそこが、伝えるべき要点ではないか。
「道徳的優位性」という韓国の基準は、およそ日本人に理解しがたい。国際法・国際合意に対する向背が基準だからである。
それなら国家国民のあり方が異なるのであって、関係の修復や悪化という次元の問題ではない。そこに着眼しないから、新聞・メディアの論調は大同小異なのである。日韓首脳会談の報道も、同断だったのはいうまでもない。
【プロフィル】岡本隆司:おかもと・たかし 昭和40年、京都市生まれ。京都大大学院文学研究科博士課程満期退学。博士(文学)。専攻は東洋史・近代アジア史。著書に「『中国』の形成」など。

★「サンケイ、それが質問か」 ソウル特派員・時吉達也 2023/3/24
保守系紙の特派員としてソウルに赴任してから2年。時に、韓国メディアから「狙い撃ち」されることもある。
先の韓国大統領選では、あるニュースサイトが革新系の李在明(イ・ジェミョン)候補と私の会見でのやり取りを「李在明に返り討ちにあった日本人記者」の見出しで報道。私が泣いているように加工が施されたサムネイル(紹介画像)の動画は視聴回数が200万を超えた。
今回は、いわゆる徴用工訴訟問題の原告会見でのやり取りについて、「サンケイ、それが質問か」と題した韓国紙のコラムで〝叱責〟された。
敗訴した日本企業に代わり韓国の財団が賠償金を支出する韓国政府の解決案に対し、「容認」を表明する遺族が増えていることをどう思うか原告女性に意見を尋ねたのだが、コラムによれば、私の質問は日本の謝罪を求め続ける原告女性の「意固地」を強調する狙いで、原告団に対する「典型的な分裂工作」なのだそうだ。コラムは、原告団内部で混乱が生じている現状が「極右の代名詞である産経の記者をどれだけ意気揚々とさせたのか」と振り返った。
「この記者、本当に会見にいたのかな」。それがコラムを読んだ率直な感想だった。海外メディア向けだった会見の要旨を、後から文面だけ見たのではないか。そう疑った理由は、私が「意気揚々」どころか、間抜けな姿で場内の失笑を買っていたためだ。
会場ではなぜか私の質問の時だけマイクが作動せず、場内をあたふたと移動。同席した知人記者から「マイクまで産経を嫌がっている」と冗談を言われる始末だった。
そもそも、原告を批判する狙いなど毛頭ない。若くして見知らぬ土地での労働に従事し、戦後は「慰安婦」と「挺身隊」の用語の混同により、元慰安婦と同様に韓国社会から「売春婦扱い」され、疎外される憂き目に遭った。彼女らを揶揄(やゆ)するなど許されないと、記者として、娘を持つ一人の父親として考えている。
インターネットや交流サイト(SNS)で簡単に入手できるニュース素材と「先入観」を組み合わせれば、勇ましいコラムも簡単に書ける時代。なるべく現場の空気に触れ、時間の制約などで現地報道を転電する場合には一歩下がって抑制的に伝える。改めてそう心に刻む一件だった。

★韓国「徴用工」解決策、履行に高い壁 政権交代もリスク
 産経:2023/3/6
【ソウル=時吉達也】いわゆる徴用工訴訟問題で6日、韓国政府は訴訟原告への賠償金を韓国財団が支出する解決策を正式に発表した。弁済措置が計画通りに履行されるかが今後の焦点だが、過去には日韓合意が後の政権でほごにされた経緯もあり、「政権交代リスク」が懸念材料となる。政府に反発する原告側も訴訟の長期化を図る方針を示すなど、国内事情が今後の行方を左右しそうだ。
「外交史における最大の恥辱であり汚点だ」。革新系最大野党「共に民主党」の李在明(イジェミョン)代表は6日、解決策が過度に日本側に譲歩していると非難を強めた。
解決策の履行に向け、今後は①財団による原告への弁済が順調に進むか②賠償金を支出した財団が「求償権」を行使し日本側に返還を求める事態が生じないか-が問題となる。
このうち、後者で懸念されるのは、李氏率いる共に民主党が政権を奪取するケースだ。保守系の朴槿恵(パククネ)政権下の2015年に発表された慰安婦問題を巡る日韓合意も、政権交代後に革新系の文在寅(ムンジェイン)政権下でほごにされている。
韓国外務省によると、財団側が保有することになる求償権は韓国民法上、10年で時効を迎える。5年に1度大統領選が実施される韓国で、現政権の解決策が安定的に維持されるには、少なくとも今後2回続けて政権与党が勝利する必要があるが、確率は高くない。
韓国外務省の元高官は「尹錫悦(ユンソンニョル)政権が真に対日関係改善を望むなら、与野党対立を解消し、政権交代後も外交方針を維持させることが重要だ」と指摘する。
また、①の問題でも黄信号がともっている。原告の一部は財団の拠出金を拒否する方針だが、韓国外務省高官は6日、原告が受領を拒んだ場合も「裁判所への供託が可能だ」と説明。日本企業側の「債務」は解消されるとの見方を示した。
これに対し、原告支援団体は、債権者である原告の意向を無視した手続きは「無効」だとして、訴訟に踏み切る方針。最終的な問題解決までには相当の時間を要するとみられる。
原告代理人の林宰成(イムジェソン)弁護士は6日「日本政府が何の負担も責任も負わず、外交的に勝利した日になった」と述べ、解決策に応じない意向を改めて強調した。
関連訴訟のうち、当面の措置対象は原告勝訴が確定した3件。残る訴訟は66件だが、時効期限に抵触することなどから勝訴確定は一部に限られる見通しだ。

★韓国政府が元徴用工訴訟問題の解決策を発表したことを大きく取り上げた7日付の韓国紙(共同)
 産経:2023/3/7
【ソウル=時吉達也】いわゆる徴用工訴訟問題で、韓国政府による解決策の発表から一夜明け、韓国各紙は7日、一斉に社説を掲載した。保守系紙がいずれも「苦肉の策」だったとの表現で一定の評価を示す一方、革新系紙では「日本の主張をそのまま受け入れた『完敗外交』だ」(ハンギョレ紙)などと批判を強め、論調が分かれた。
日本政府は6日の韓国政府発表に合わせ、「痛切な反省とおわび」に言及した過去の政府談話の継承を表明したほか、対韓輸出管理の厳格化措置についても解除に向けた2国間協議を始めると明らかにした。保守系の中央日報紙は「これまで消極的だった日本側が一つずつ呼応する姿を見せたのは、ひとまずポジティブだ」と評価した。
朝鮮日報紙は、革新系最大野党「共に民主党」が「外交史上の汚点だ」などと韓国政府を非難したことに対し、同党が1998年、当時の小渕恵三首相と日韓共同宣言を発表した金大中(キム・デジュン)元大統領の流れをくむと指摘。「国内政治に利用して互いを非難するだけの韓国政治だが、いまや自己否定までしている」と批判した。
一方、革新系のハンギョレは解決策を「韓国がすべて譲歩し、日本は何も出さない方策」と評価。「韓国主導の解決策」などと自賛する韓国政府の主張は「詭弁(きべん)」であり「決して同意できない」と語気を強めた。
京郷新聞も「日本のまともな反省や謝罪を引き出すことができなかった」と主張。「韓国政府の外交的完敗とみるほかない」と結論付けた。

★ウクライナの平和求める決議、141カ国が賛成 国連総会が採択
朝日:ニューヨーク=遠田寛生2023年2月24日

23日、国連総会は緊急特別会合を再開。ウクライナへの平和を求める決議案が141カ国の賛成で採択された=米ニューヨーク、遠田寛生撮影
 193カ国で構成される国連総会は23日、ロシア軍に「即時、完全かつ無条件の撤退」を要求し、「ウクライナでの包括的、公正かつ永続的な平和」の必要性を強調する決議案を141カ国の賛成で採択した。反対はロシアなど7カ国。決議に法的拘束力はないが、ウクライナ侵攻から1年が迫る中、国際社会の中でロシアの孤立を浮き彫りにすることに成功した。
 決議案は日本や米国など50カ国以上が共同提案国として名を連ねた。採決でロシアの他に反対したのは、ベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、マリ、ニカラグア、シリア。
 中国やインド、イラン、南アフリカなど32カ国は棄権票を投じ、13カ国は投票しなかった。

★道徳性への問いはどこに 元慰安婦支援団体代表への判決後の韓国 産経:2023/2/24 01:00 名村 隆寛
韓国の元慰安婦女性への寄付金を私的流用したとして、業務上横領罪などに問われた元慰安婦支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連、旧挺対協)」の尹美香(ユン・ミヒャン)前理事長(58)が1審で罰金刑の判決を受けた。起訴内容の大半は無罪。現在も国会議員(無所属)である尹氏に対し、かつて除名処分とした左派系最大野党「共に民主党」からは、有罪判決を受けた尹氏の道徳性を問うどころか、謝罪の声や復党論まで出ている。
「尹議員に申し訳ない」尹氏にソウル西部地裁が10日、言い渡した判決は、罰金1500万ウォン(約156万円)=求刑懲役5年=で、元慰安婦をだましたとされた準詐欺罪などほとんどが無罪だった。判決について韓国の法曹界や保守系メディアでは「刑が軽すぎる」「納得し難い」などと批判が出ている。

★ロシア経済、一見「堅調」も悪化の兆候じわり 2023/2/20
ロシア経済はウクライナ侵略開始後、米欧の大規模な制裁の下に置かれたが、予想ほどの大幅な悪化はみられなかった。ただ、露経済の「屋台骨」である石油や天然ガスなどエネルギー輸出の収益は減少が続くと見込まれ、制裁は中長期的に露経済をむしばんでいく公算が大きい。
侵略開始後、露通貨ルーブルは対ドルで70ルーブル台から一時140ルーブル近くに急落したが、その後回復し、最近は60ルーブル台後半~70ルーブル台前半で推移している。欧米は金融制裁でロシアの貿易代金決済の困難化を図ったが、露側は天然ガス代金のルーブル払いを求めるなどの防衛措置をとったことが効果を上げたとされる。
欧米は露産石油の禁輸措置をとったが、中国やインドが買い支えた。米欧企業は露市場から撤退したが、露側は資産を引き継がせるなどして国内企業にその穴も埋めさせた。国際通貨基金(IMF)は侵略当初、2022年のロシアの国内総生産(GDP)が8・5%減少すると予測したが、順次、上方修正。今年1月、最終的に2・2%減にとどまったとの試算を公表した。失業率は3・7%に収まっている。
ただ、先行きは明るくない。エネルギー高は一段落し、欧米は露産原油価格に上限を設定。欧州はエネルギーの脱露依存からの脱却も進める。このため、ロシアの国家歳入の3~4割を占めてきたエネルギー輸出の収益は悪化するとみられている。国際エネルギー機関(IEA)は原油の輸出量が30年までに22年比で30%程度、天然ガスも40%程度減ると予測する。
露経済発展省によると、昨年12月の工業生産指数は前年同期比4・3%減で、昨年最大の減少幅を記録した。米欧に依存してきた部品不足の加速などが背景にあるとの見方が出ている。

★原油制裁で露経済は弱体化 JOGMEC原田大輔調査課長 2023/2/21 17:01
昨年2月のロシアのウクライナ侵攻後、露産原油は国際価格では購入されなくなっている。足元で1バレル=80ドル前後の国際価格に対して、最大約40ドルのディスカウント(値引き)を余儀なくされている。昨年6月ごろの1バレル=120ドルを超える国際価格であれば、露産原油も80ドル前後で取引されるのでロシアの歳入増加傾向がみられた。その後、中国の需要減などの見通しを受け、原油価格は下落し続け、ロシアに厳しい状況をもたらしている。
先進7カ国(G7)などが露産の石油禁輸や原油に対しては1バレル=60ドルの価格上限を設定したが、露産原油の実勢価格が60ドルを下回っており、制裁に意味がないという見方もあるがそうではない。ウクライナ侵攻後、ロシアは原油を値引きしなければ売れない状況となり、石油禁輸、原油の価格上限設定で値引き圧力がさらに強まっている。輸出額が減少し、ロシアは結果的に追い詰められている。G7などの経済制裁で中長期的にはロシアの弱体化が予想される。
ロシアは国別では天然ガスの埋蔵量が世界で最も多く、現時点で供給余力を持つ唯一の国だ。露産天然ガスの代替調達は3~4年後にカタールや米国、東アフリカなどで大規模な生産が始まるまで難しい。対ロ制裁は石炭、石油、金の禁輸まで拡大したが、天然ガスに踏み込んでいない理由がここにある。しかし、ロシアが核の使用などエスカレートした行為を取る場合には、天然ガスの禁輸も制裁対象とする議論に及ぶ可能性がある。
日本に関していえば、ロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン1」、「サハリン2」などの権益維持は非常に重要だ。これらの権益は一度手放すと取り戻せないばかりか、ロシアは撤退した外資の権益を「友好国」である中国やインドに破格の条件で分配し、世界に揺さぶりを掛けてくるだろう。中長期的には再び中東依存度が高まった原油や、液化天然ガス(LNG)の調達を多様化させる観点でも権益維持は必要不可欠だ。
ロシアは半世紀にわたり築いてきた「世界のエネルギー安定供給者」としての信頼を失ってしまった。ガス代金支払い通貨の一方的な自国通貨への変更、サハリン1やサハリン2を対象とした権益を新設のロシア企業への移管などで、世界はロシアが商業慣行を無視し、契約をほごにする信頼できない国であることを認識しつつある。
日本がロシアとの関係を単に排除するのではなく、エネルギー安全保障の観点、対中国や対北朝鮮など地政学上のリスクへの対応も含めて、弱体化していくロシアと中長期的にどう付き合い、いかに日本の国益を最大化するのか注意深く検討する契機ともなるだろう。(聞き手 永田岳彦)

★安倍政権最大の後見人」が実は安倍晋三よりも昵懇だった“意外な政治家の名前” 2/21(火) 9:03配信
・2022年は、この10年のあいだ日本を動かしてきた「二人の大物」が続けざまに死んだ年として、後世語られるかもしれない。一人は安倍晋三。もう一人が、安倍のブレインにして安倍政権の「フィクサー」と呼ばれた、JR東海名誉会長の葛西敬之だ。JR東海は日本を代表する広告主のため、葛西については新聞テレビはもちろん、文春砲を筆頭とする週刊誌メディアもこれまで触れることができなかった。話題沸騰の書『国商 最後のフィクサー』では、そのタブーがすべて明かされた。硬派のジャーナリスト森功氏が、葛西の知られざる素顔に迫った連載をリバイバルでお届けする。
・政界の黒幕と呼ばれてきた大物財界人
 現首相の岸田文雄は葛西の訃報が流れた明くる5月28日、山梨県都留(つる)市にあるリニアの実験線を視察した。もとよりあらかじめスケジュールに入っていたのだろう。岸田は記者団を前に、未着工区間である名古屋~大阪間の環境影響評価(アセスメント)を進める、と次のように述べた。
 「(リニア中央新幹線の)全線開業の前倒しを図るため、来年から着手できるよう、沿線自治体と連携しつつ指導、支援していく」
 超電導リニアは、葛西の悲願であった。享年81。日本国有鉄道の民営化を成し遂げた「国鉄改革三人組」の一人と称された。国鉄民営化以降、JR東海を率いた葛西は近年、政界の黒幕と呼ばれてきた大物財界人である。
・安倍のカムバックを強力に後押し
 葛西は2度首相の座に就き、日本の憲政史上最長となった安倍晋三政権における最大の後見人と目されてきた。それゆえ政界とのつながりが深いようにイメージされてきたかもしれない。だが、実のところはそうでもない。
・国鉄の民営化に奔走した頃は、自民党の運輸・鉄道族議員たちを動かした。半面、懇意の政治家はそう多くはない。最も篤(あつ)く結ばれてきた国会議員は、自民党と民主党を渡り歩いた与謝野馨(かおる)だ。与謝野との縁で安倍と知り合い、互いの親米、保守タカ派の思想が共鳴し合い、安倍を首相にしようと支援するようになった。
・葛西は小泉純一郎が安倍に政権を譲る少し前に国家公安委員に選ばれ、教育再生会議のメンバーとしてときの内閣との結びつきを深めていく。自民党が下野したあとの民主党政権時代にも、東日本大震災に見舞われた政府の政策に関与していった。葛西は福島第一原発事故により、経営危機に陥った東京電力の経営・財務調査委員会ならびに原子力損害賠償支援機構運営委員会の委員に就任する。そこでも独特の持論を展開した。
・「社会インフラである電力事業を政府の役人に任せきりではろくなことにならない」
 脱原発や電力自由化の気運が高まるなか、葛西はそこに異を唱え、むしろ原発再稼働の旗を振るようになる。そうして安倍の政権カムバックを強力に後押しし、実際にそれを実現させた。
・閣僚や官僚の人事も葛西の指示だった
 第二次安倍政権の発足にあたり、安倍の側近として旧知の官邸官僚を送り込んだ。その一人が警察庁出身の杉田和博であり、経産省出身の今井尚哉(たかや)だった。警察庁でもっぱら警備・公安畑を歩んできた杉田は、国鉄改革時代から極左の労働組合運動と対峙してきた葛西にとって頼りになる友人といえた。
 また、今井は第一次安倍政権時代に事務担当の首相秘書官を務め、政権の奪還に汗をかいてきた。葛西が信を置く経産官僚の一人でもあり、交友を重ねてきた。ときに葛西は安倍から内閣の主要閣僚や官僚人事の相談を受け、アドバイスしてきたといわれる。
・葛西の悲願だった超電導リニアの実現は、安倍政権の経済政策アベノミクスにおける成長戦略の目玉に位置付けられた。リニア事業はここからまさに政治と一体化したビジネスとなる。財投という政府の資金を使うことになったJR東海は工事を急いだ。そして葛西と政権との蜜月は、安倍のあとを引き継いで首相に就いた菅義偉にも受け継がれる。岸田政権が誕生したあとも、葛西の影がさまざまな場面でちらついてきた。奇しくも岸田が参議院選挙に臨んだ投票日2日前の7月8日、安倍は奈良県近鉄大和(やまと)西大寺(さいだいじ)駅前で応援演説をしている最中に凶弾に見舞われ、命を落とした。葛西の死からわずかひと月半後の出来事である。この10年のあいだ、葛西と安倍の二人は日本の中心にいて、 この国を動かしてきた。それは疑いようのない事実であろう。
・一国の首相が「憂国の士」と敬愛してやまない葛西は、財界のなかでも類を見ない愛国者に違いない。半面、日本という国を舞台にビジネスを展開し、政府や政策を操ろうとしてきた。政策の表舞台に立たない黒幕だけにその実像はほとんど伝えられなかった。最後のフィクサーと呼ばれる。『国商 最後のフィクサー葛西敬之』は、葛西敬之の知られざる素顔に迫るノンフィクションである。

★歴史戦の大転換点 2023/2/20 10:00
[Comfort Women] Professor Mark Ramseyer Speaks Out as Truth Wins
(【慰安婦問題】真実が勝利し、マーク・ラムザイヤー教授が口を開く)

日韓両国間でいまだに対立をもたらしている戦時中の慰安婦問題に先月末、大きな進展があった。世界に広まる「慰安婦=性奴隷」説を否定した米ハーバード大学大学院のマーク・ラムザイヤー教授(69)の学術論文が厳正な審査の結果、真実と認められたのだ。論文の発表から実に2年以上が経過した。その間、韓国や米国では抗議が沸騰し、さまざまな問題や課題を浮き彫りにした。一つずつ明らかにしてみよう。
慰安婦が契約による売春婦であるとした学術論文を、教授が米学術ジャーナル「インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス(IRLE)」に発表したのは2020年12月。翌21年1月に本紙に論文要旨が掲載された後、教授は英語ニュース・オピニオンサイト「JAPAN Forward」(JF)に、「慰安婦=性奴隷」説はまったくの作り話だと寄稿した。
韓国や米国の学者たちによる激しい抗議活動がその直後から始まった。教授によると、脅迫状や殺害予告などの嫌がらせメールが多い日には、数十通届いた。さらに、米国やシンガポールの大学教授たちがツイッターなどで一斉に、論文の撤回とラムザイヤー教授の解雇を求めてキャンペーンを開始した。
その中には、大学教授であるにもかかわらず根拠を示さずにラムザイヤー教授を、「白人至上主義者だ」「ヘイト・スピーチを繰り返している」などと口汚くののしるツイートも多数あった。しかし、今回、彼らの敗北が確定すると、これらの問題ツイートを消去したり、自身のツイッターのアカウント自体を閉鎖したりと証拠隠滅を図る大学教授も出た。
一方、ラムザイヤー教授は、こうした「暴力団」のような脅しや印象操作、さらには事実の歪曲(わいきょく)といった圧力にも屈せず、さらに研究を深めたことで新たな発見をすることができた。早稲田大学の有馬哲夫教授と共同で、慰安婦問題の起源を調べ、同問題には北朝鮮人脈が深く関与していることを突き止めた。「慰安婦問題と北朝鮮コネクション」という題名の論文にまとめて連名で発表した。
ラムザイヤー教授は「この2年間、本当に疲れた。しかし、私と有馬先生を攻撃する人々のおかげで、慰安婦問題の本当の歴史、そして問題の裏に北朝鮮の影が濃く潜んでいることが全世界に広く知られたことはよかったと思う」とJFのエディターで、麗澤大学国際学部のジェイソン・モーガン准教授のインタビューに答えた。
上の英文(日本語訳)は、そのインタビューをもとにした3回連載記事の最終回の見出しだ。3回の英語記事を要約した日本語記事「ハーバード大学ラムザイヤー教授の『慰安婦論文』生き残る」も、JFの日本語ページで閲覧することができる。
モーガン准教授はその中で、「ラムザイヤー教授の見事な勝利は、慰安婦問題という歴史戦で大きな転換点になるだろう」と述べている。確かに、勝利はしたが、「慰安婦=性奴隷」という偽りを依然信じる人たちによって、ベルリンをはじめとする世界各地で、慰安婦像の建立が続く。
米学界での慰安婦問題論争はこのまま決着へと向かうのか、「偽りの歴史」を刷り込まれた人たちの行動は今後、変わっていくのか―。まだ予断を許さない。日本人は今後、今回の勝利を海外に伝える努力をすることがこれまで以上に求められている。
ただ、歴史戦が、新たな段階に突入したことは間違いないだろう。JFは、慰安婦問題以外の歴史問題も積極的に伝えていきたい。(JAPAN Forward編集部)

★ハーバード大学ラムザイヤー教授の「慰安婦論文」生き残る ―歴史的事実が活動家のフィクションに勝つ
Published 6 days ago on February 16, 2023By Jason Morgan, Reitaku UniversityComfort wome
2020年12月、ハーバードロースクールのJ. マーク・ラムザイヤー教授(69)は『インターナショナル・レヴュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス(IRLE)』という米学術ジャーナルで、慰安婦が契約を結び売春婦として働いていたとする内容の論文を発表した。その概要は翌21年1月に『産経新聞』が紹介し、その後、ラムザイヤー教授本人が『JAPAN Forward』に投稿して説明した。
・殺害予告や脅迫状も
『産経新聞』と『JAPAN Forward』の記事がきっかけで、同論文は韓国国内のソーシャル・メディアやテレビ、新聞などで取り上げられて、韓国社会が燃え上がった。北朝鮮の政府までラムザイヤー教授を罵倒した。韓国メディアが記者を派遣して教授の自宅前に張り込んだこともあったそうだ。脅迫状や殺害予告など嫌がらせメールが多い日には、数十通、届いたという。それらは、朝鮮半島や米国国内の激怒した韓国系グループなどが行っていた。
その怒りの波に乗って、米ノースウエスタン大学のエイミー・スタンレー教授や、米ノース・カロライナ州立大学のディビッド・アンバラス教授、シンガポール国立大学のサヤカ・チャタニ助教、日本叩きで有名な米コネチカット大学のアレキシス・ダデン教授らが、ラムザイヤー教授とその「慰安婦論文」に対してバッシングキャンペーンを展開した。彼らは、『IRLE』の編集委員会メンバーに直接、ツイッターなどで何度も論文の撤回を求めたほか、ハーバード大学にラムザイヤー教授の解雇も要求した。チャタニ助教ら反ラムザイヤー学者の一部は、根拠を示すこともなく、ラムザイヤー教授が「白人至上主義者」であると非難し、ネット上で大騒ぎを起こした。
・キャンセル・カルチャー
アメリカではこの数年、今回のように極左学者らが自分たちの気に入らない論文や発表を行った学者に対して糾弾キャンペーンを展開し、その人物を学界から追放する「キャンセル・カルチャー」が、悪名高い事実として広く知られるようになっている。それは、真実を追究しようというアカデミックな姿勢ではなく、自らに都合の悪い真実や「異論」を封殺しようとするギャングのやり方と言える。それほど、アメリカの学界は、言論の自由が消えつつあるのだ。
こうした「キャンセル」の動きがあると、ほとんどの場合、糾弾のターゲットとなった学者は「キャンセル」する側の圧力に耐えられなくなり、主張する「異論」が仮に正しかったとしても、すぐに屈して「キャンセル」側の前にコロンとお腹を出して降伏する。だが、ラムザイヤー教授は、白旗を掲げず、慰安婦問題について更に研究を掘り下げる決定をした。
・露呈した反日コネクション
たとえば、ラムザイヤー教授は、早稲田大学の有馬哲夫教授とチームを組んで、長年、韓国や日本、アメリカ、ヨーロッパなどで問題化されてきた慰安婦問題の裏を調べることにした。両教授は、慰安婦問題の裏には北朝鮮の影があることを突き止め、同問題を操り、煽ってきた北朝鮮と韓国国内、日本国内などにおける北シンパの政治家や学者などの姿を浮き彫りにした。つまり、ラムザイヤー教授は、反日学者やジャーナリストたちの糾弾の前に跪くのではなく、学者として何か隠されていることはないか、と図書館や資料館で調査し、さらに研究を深めたのだ。
最近のニュースは両教授の研究成果を裏付けている。北朝鮮と慰安婦問題とのリンクはもう明らかだ。たとえば、2023年2月、元慰安婦たちを支援する韓国の市民団体から寄付金を横領した罪などで起訴された同国国会議員の尹美香被告は有罪判決を言い渡されて罰金刑となった。尹被告は、北朝鮮に近いグループと一緒にソウル市内で反日「水曜日デモ」を長年にわたり開催してきた。さらに、尹氏の夫、そして夫の妹は北朝鮮の工作員として韓国で逮捕され、懲役刑となった。上述したダデン教授は、2017年10月に、尹氏と一緒にパネル・ディスカッションの舞台に立った。テーマは「慰安婦問題」だった。
・2年以上に及ぶ戦い
2020年12月に『IRLE』にラムザイヤー教授が論文を発表してから2年以上が経った2023年1月、『IRLE』の編集委員会はついにラムザイヤー論文について最終的の判断を発表した。編集委員会は長い間、ラムザイヤー叩きを展開していた者たちからのクレームや嫌がらせなどを受けていたが、彼らが「詐欺だ」と繰り返して叫んで撤回を強く要求していた論文について、編集委員会の取り調べによって「詐欺はなかった」とはっきり言い切った。資料分析過程などでラムザイヤー教授がケアレスミスをした可能性があると編集委員会の一部委員は指摘したが、でっち上げや捏造、詐欺などは全くないと全員一致の結論になり、編集委員会はラムザイヤー教授の慰安婦論文を徹底的に検証して合格させたのだ。
上述した反ラムザイヤーのスタンレー教授は、編集委員会の結果を偽って、自分のツイッターでその正反対なことをツイートした。「ラムザイヤー論文は詐欺だったと思う編集委員会メンバーもいた」。スタンレー教授はバッシングキャンペーンを諦めなかった。しかし、2023年1月下旬、『IRLE』編集委員会の結果発表後に『JAPAN Forward』のインタビューに応じたラムザイヤー教授は、スタンレー教授が事実をねじ曲げていると指摘した。スタンレー教授の「嘘」を暴くラムザイヤー教授とのインタビュー記事が『JAPAN Forward』で掲載されると、スタンレー教授は自らのツイッターで「誤り」を認めて偽りの発言を撤回した。
ラムザイヤー教授は、2年以上にわたるバッシングや根拠のないレッテル貼りなどを耐えてきたが、『JAPAN Forward』とのインタビューでは「少し限界が来ていた」と本音を覗かせた。「白人至上主義者」「暴力を煽っている」「ヘイト・スピーチを繰り返している」などの誹謗中傷を受け続け、「この2年間、本当に疲れた」と語った。
・歴史戦の転換点
その一方で、「しかし、私と有馬先生を攻撃する人々のおかげで、慰安婦問題の本当の歴史、そして同問題の裏に北朝鮮の影が濃く潜んでいることが全世界まで広く知られたことは、よかったと思う」と強調した。最後には、「もっと言わせてもらえれば、私とその論文を攻撃していた学者たちは、あまりにも平気に真実に背を向け、あまりにも極端かつ根拠のない発言を繰り返した。結局、自分たちは冷静なのかと、彼らの発言を読んでいる人たちに疑問を抱かせた。」
そうした反日「学者」たちの慰安婦問題に関する発言は、何かおかしい。そう感じる海外の読者もたくさんいるに違いない。
ラムザイヤー教授は慰安婦問題に関する論文を発表し、そのあとに反日「学者」が展開したバッシングキャンペーンに耐え、最後に論文は生き残った。ラムザイヤー教授の見事な勝利は、慰安婦問題という歴史戦で大きな転換点になるだろう。長年、でっち上げやデマを煽った『朝日新聞』と日本に対して謝罪と弁償の要求を繰り返してきた韓国国内、日本国内のペテン師は、今回のラムザイヤー論文事件でビジネスモデルを失った。さてこれから、慰安婦問題詐欺の効かない日韓関係はどうなるか興味深い。

★ラムザイヤー教授、またもや妄言…「慰安婦強制連行の証拠ない」

ソウル大学のチョン・ジンソン教授研究チーム提供//ハンギョレ新聞社
 日本軍慰安婦被害者を「売春婦」と表現し、物議を醸したハーバード大学ロースクールのマーク・ラムザイヤ―教授が、今度は「慰安婦強制徴用の事実を立証する同時代の文書はない」と主張した。
 ラムザイヤー教授は5日(現地時間)、ハーバード大ロースクールのホームページに掲載した「太平洋戦争における性サービスの契約:批評に答える」で、これまで自身に向けられた批判に対し、このように主張した。
 ラムザイヤー教授は同論文で「韓国人女性が自分の意志とは関係なく銃口を向けられた日本軍によって(慰安婦に)連れて行かれたという主張は偽り」だと指摘した。彼は特に、吉田清治氏が1983年に出版した本『私の戦争犯罪』の内容が、慰安婦強制徴用の事実上唯一の根拠だったと強弁した。同書は吉田氏が済州道から直接慰安婦を連行したという経験談を記した手記だ。
 ラムザイヤー教授は同書について「騎馬部隊が韓国人女性を銃剣で脅して強姦し、慰安所の性奴隷として送り出したという内容」だとし、「韓国人女性の強制徴用説を取り上げた1996年の国連報告書はかなりの部分同書に依拠している」と主張した。「1945年の終戦後、35年間(強制徴用を立証する)いかなる証拠もなかった。1980年代後半になって一部の韓国人女性がこれを主張し始めただけ」だとし、「(吉田氏の)本をきっかけに韓国人女性たちが過去と違って強制徴用を主張し始めたが、吉田氏は死ぬ前に自分の本が創作(フィクション)だと認めた」と指摘した。
 ラムザイヤー教授は2020年12月、慰安婦強制連行を否定する論文を国際学術誌「インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス(IRLE)」に発表し、大きな論争を巻き起こした。彼は当時論文の中心内容が慰安婦女性の契約条件に関するものだったにもかかわらず、「提起された批判は論文の中心内容の『契約内容』について言及もしなかった」と主張した。また、従来の研究や図書を正確に引用していないという批判に対し、「ごく少数のミスはあったが、(慰安婦)契約の分析には影響を及ぼさない程度」だと弁護した。
 ラムザイヤー教授はまた、慰安婦被害者の証言も信憑性に欠けると主張した。特に、慰安婦被害者のイ・ヨンスさんを狙って、証言を変えたことで「最も悪名が高い」と攻撃した。
 彼は自分の主張に反ばくするためには、論文を学術誌に掲載し、審査を受けなければならないと主張した。世宗大学のパク・ユハ教授が慰安婦関連書籍を出版して訴訟に巻き込まれた事件と、リュ・ソクチュン前延世大学教授が講義中に日本軍慰安婦を売春と言って裁判を受けた事件を取り上げ、「学問の自由が脅かされている」と主張した。
 ラムザイヤー教授の主張は「日本政府が発見した資料では軍や官憲による強制連行を確認できるものはなかった」という日本政府の主張と同じ脈絡だ。日本政府は、慰安婦動員過程の強制性を認めた河野談話(1993年)は継承するとしながらも、強制連行における軍や官憲の関与は否定している。日本政府は、2015年末の韓日慰安婦合意後、2016年初めに開かれた国連女性差別撤廃委員会第63回会議でも、このような内容の答弁を提出している。当時も慰安婦強制連行の証拠はないと主張することで、「慰安婦=性奴隷=国家犯罪」という国際社会の常識を覆そうとしているという批判を受けた。
・パク・ビョンス先任記者

★ジョン・マーク・ラムザイヤー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
人物情報
全名 John Mark Ramseyer
生誕 1954年[1]
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国シカゴ[1]
学問
研究分野 会社法、法と経済学、日本法[1]
研究機関 カリフォルニア大学ロサンゼルス校[1]
シカゴ大学[1]
ハーバード・ロー・スクール[1]
学位 1976年ゴーシェン大学(英語版)学士(歴史学)[1]
1978年ミシガン大学修士(日本研究)[1]
1982年ハーバード大学法務博士(法学)[1]
主な受賞歴 1990年、サントリー学芸賞
2007年、第23回大平正芳記念賞[1]
2018年、旭日中綬章
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ジョン・マーク・ラムザイヤー(John Mark Ramseyer、1954年 - )は、アメリカ合衆国の法学者。ハーバード・ロー・スクール教授。専門は日本法及び法と経済学。シカゴ生まれの宮崎県育ち。
・経歴
シカゴで生まれ、0歳時に来日、18歳までは宮崎県に居住した(日本語にも堪能である)。ミシガン大学で修士号を取得後、ハーバード・ロー・スクールに進学。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)ロースクール教授、シカゴ大学・ロー・スクール 教授を経て、ハーバード・ロー・スクール教授。
法学者の中里実(東京大学名誉教授)や経済学者の三輪芳朗(東京大学名誉教授)との共同研究も多い。
・受賞歴
1990年、サントリー学芸賞(政治・経済部門)-『法と経済学――日本法の経済分析』(弘文堂、ISBN 978-4-335-35103-7)に対して
旭日中綬章、2018年11月、
・論争のある論文
・沖縄基地の論文
沖縄タイムスは、沖縄の基地に関するラムザイヤーの論文に「(辺野古新基地建設に対する)闘争によって、沖縄のエリートは政府からより多くの補助金を手にし、本土の活動家は沖縄と関係のない目標を追求する(沖縄タイムスによる和訳)」などとあることについて、事実と異なっている、根拠が不十分である、問題のある表現があると報道している[2]。また、社説で論文は大勢が定まった専門的な書籍ではなく一方的な一般書の引用であり恣意的であると非難している[3]。ラムザイヤーは沖縄タイムスの取材に対しこの論文を出版しないと回答した[2]。
・第二次大戦時における慰安婦に関する論文
2020年12月、ラムザイヤーは学術誌「インターナショナル・レビュー・オブ・ロー・アンド・エコノミクス」(International Review of Law and Economics)のオンライン版に「太平洋戦争における性契約」("Contracting for sex in the Pacific War")と題する論文を発表した。当該論文は、慰安婦は自発的に売春婦としての契約をした労働者であると指摘する内容であったため、韓国では猛批判が沸き起こった[4]。
論文では、「日本軍は、東アジアに進軍したころ、現地で性病が蔓延することを避けるため、各地に半公式の売春宿を民間業者が設置することを促した」「売春婦は業者によって主に日本と朝鮮から集められ、軍と提携する売春施設を『慰安所』、売春婦を『慰安婦』と呼ぶようになった」などと指摘しており、慰安婦の強制性を否定する内容であった[5]。
出版元のIRLE[6]は電子版は2020年に既に登録されている。印刷版はラムザイヤー教授の論文と反論の論文、教授のその反論の反論を併記する形となるとしている。
2023年1月18日、IRLE誌の編集委員会は、ラムザイヤー氏の論文は撤回されないと発表した[7]。
論文撤回を求める署名運動
当該論文の撤回を求めるオンライン署名には、5日間で2,464人の学者が賛同した。賛同者の中にはノーベル経済学賞を受賞したエリック・マスキンもいた[8][9]。
有馬哲夫や西岡力は、こうした運動を、キャンセル・カルチャーだと批判した[10] [11]。
・論文に否定的な意見
韓国の中央日報によるとハーバード大学東アジア言語文化学科教授のカーター・エッカート(朝鮮史専攻)と歴史学科教授のアンドルー・ゴードン(日本近現代史・労働史専攻)は、論文の根拠となる韓国人慰安婦の募集契約書をラムザイヤーが直接探したという証拠はなく[12]、「自分で見たことのないのにどうして強い表現まで使って論文を書いたのか理解不能である。『証拠未確認』『主張を裏付ける第三者の証言不足』『選択的文書の活用』などで、学問的真実性を深刻に違反している」と批判した[12]。韓国のハンギョレ新聞はこの点について、ラムザイヤーは論文の根拠となる契約書を見つけられなかったことを同僚に対して認めたと報じた[13]。
なお、ラムザイヤーの契約に関する論文は1991年[14]、及び2019年[15]の長論をベースとした要約の形にまとめられている。
韓国メディアのハンギョレは社説において、ラムザイヤーの論文は慰安婦や戦時性暴力(英語版)に反対する人々への嘲笑であり、歴史の歪曲であるとし、ラムザイヤーの肩書であるハーバード大学ロースクールの「三菱日本法学教授」が三菱グループの寄付によって作られたことに触れ、ラムザイヤーは戦犯企業の支援を受けて、慰安婦と強制動員の歴史に関し、日本の右翼の主張に沿った内容を発表してきたと非難した[16]。
経済学者は5つの部分に指摘する声明を出した[17][8]。
裏付ける資料がないのに慰安婦の状況を考慮せず雇用契約としたこと、論文には売春婦の相場を記載しているが戦地における収入であるとは言えない。
売春婦として売られた少女の話があるが責任能力の観点から問題がある。
慰安婦が自由に仕事場から移動でき給与を貰っていたとする仮定について。
軍隊、政府の関与を認めていないこと。
経済学、ゲーム理論、法と経済学を使用したこと。
北朝鮮メディア朝鮮の今日は3月2日、社会科学院歴史研究所室長との対談記事を掲載し、「過去の犯罪を隠蔽しようとする日本の反動勢力の恥知らずで不道徳な妄動を支持、加勢しただけでなく、日本軍の性的奴隷被害者を自発的な売春婦と呼んで侮辱した」と批判した[5]。

韓国の民間インターネット団体VANKは、関連するアメリカの雑誌に論文の撤回を要請した[18]。

経済学者の竹内幹は法と経済学の学術書に掲載されたのにも関わらず、ラムザイヤーが使用したゲーム理論に経済学に必要な数式が使用されていない、と批判した[17]。
・論文に肯定的な意見
産経新聞は、高名な会社法学者かつ日本研究者であるラムザイヤーが、査読を経た学術論文で「慰安婦=性奴隷」説を否定していることを肯定的に評価した[19]。
麗澤大学准教授でモラロジー研究所客員研究員のジェイソン・マイケル・モーガンは、ラムザイヤーの論文を攻撃する人々の多くは、慰安婦を絶対的な犠牲者と見なす過激なフェミニストであり、人種差別や研究の問題の専門家でもあり、韓国の資金源から資金提供を受けている研究所であると主張した[18]。
李栄薫ら11人の韓国の学者と弁護士のグループは2月9日、ラムザイヤーを攻撃しているグループが、学術的な議論を無視している点を批判した[18]。
慰安婦問題の専門家である西岡力を含む委員6名が、日本の研究者の観点からラムザイヤーの論文への支持を表明した[18]。
元・時事通信記者でジャーナリストの室谷克実は、内容のほとんどは日本の研究者が既に掘り起こしたもので、新たな視点は見られなかったとしつつ、韓国側から論文の撤回を要求する動きが起こっているのは、内容(「慰安婦=性奴隷」説の否定)が韓国にとって不都合だからであろうと主張した[20]。

★ラムザイヤー教授「北朝鮮関連団体、韓日和解妨害のために慰安婦利用」

ⓒ 中央日報日本語版
2022.08.18 12:030

旧日本軍慰安婦被害者は自発的な売春婦だという主張をしたハーバード大学ロースクールのマーク・ラムザイヤー教授が、今度は親北朝鮮団体が慰安婦問題を利用しているという論文を出した。
ハーバード大学ロースクールのジョン・M・オリン・センターのオンラインホームページによると、ラムザイヤー教授と早稲田大学の有馬哲夫教授の共同論文「慰安婦女性:北朝鮮との関連性(Comfort Women:The North Korean Connection)」が8日に上げられた。
彼らの論文の概要を見ると、「北朝鮮と密接な関係があるとみられる腐敗した組織が慰安婦運動を掌握した。根気よく韓国内の民族主義をあおり日本との和解を中断させた」という主張が盛り込まれた。
続けて「これらすべてのことは北朝鮮が着実に核兵器を開発する間に起きた」とした。「北朝鮮と慰安婦運動を運営する団体の間の緊密な関係を考慮するとこのことが核心であるかもしれない」と付け加えた。
本文では旧韓国挺身隊問題対策協議会(現・正義記憶連帯)が日本との和解を防ぐために1995年、2015年の慰安婦合意に対する事実上の破棄を主導したと主張した。尹美香(ユン・ミヒャン)元挺対協代表と北朝鮮の関連性を主張し、挺対協誕生の背景に北朝鮮があるという趣旨の論理を展開した。
論文は旧日本軍の慰安婦強制徴用が偽りだという主張もした。「多くの陳述によると(慰安婦として連れて行かれた)女性たちの一部は虐待する両親から圧力を受けてこうした職業を得たり、詐欺的な個人採用者などにだまされた」とした。
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